【作品理解に役立つ】バレエ『白鳥の湖』の黒鳥オディールについて解説☆

バレエ

今回は古典バレエの傑作、バレエ『白鳥の湖』の主要キャラクターである黒鳥オデットについて見てみたいと思います。
黒鳥オディールの踊りは難易度が高いことで知られ、三十二回のフェッテが印象的ですよね。

こちらではバレエ『白鳥の湖』のあらすじ、黒鳥オディールの踊りについて、版による黒鳥オディールの踊りの違いについて記事にしています。
バレエ『白鳥の湖』の作品理解を深めたい方の参考になりましたら幸いです☆

私Junはバレエを習って18年になる大人リーナです。
高校卒業後ブランクがあり、社会人になってから再会しました。
ジュニア時代もコンクールになど出たことない、趣味のバレエでしたが
だからこそ大人リーナさんに役立つ記事をお届けできるのではと思っています☆

バレエ『白鳥の湖』のあらすじ

『白鳥の湖』は初演以降多くの改訂版が演じられており、様々なあらすじがあります。
大きく分けると、ハッピーエンドか主人公の死を描くバットエンドとなりますが、今回はハッピーエンドのあらすじをご紹介します☆

第一幕

ジークフリード王子の城では、彼の成人を祝って祝宴が催されています。
友人たちがジークフリードにお祝いを述べるそばで、道化がお祝いに訪れた人々を楽しませているところへ、母である王妃が登場します。

王妃はジークフリードに弓を贈り、明日の舞踏会で花嫁を選ぶように言い渡します。
日が暮れ、客たちが帰っていくと、一人残ったジークフリードは去りゆく少年時代を思い感傷に沈むのです。

第二幕

深い森の湖畔。
ジークフリードは感傷を振り払おうと、先ほど贈られた弓を持ち白鳥狩りにやってきます。

湖では悪魔ロートバルトによって白鳥に変えられた乙女たちが、夜の間だけ人間の姿に戻っていました。
その様子を目撃したジークフリードは、ひときわ気高く美しいオデット姫に心を奪われます。

ジークフリードはオデットに近寄り、二人は運命の出会いを果たします。
そしてオデットは悪魔ロートバルトの魔力に打ち勝つことができるのは、未だ恋をしたことのない男性による永遠の愛の誓いだけであり、もしその誓いが破られれば、白鳥たちは二度と人間に戻れないと語り、ジークフリードは、ためらうことなく彼女を愛することを決心するのです。

第三幕

城内での舞踏会。
各国の姫たちが花嫁候補として招かれていますが、オデットを深く愛するジークフリードは誰にも心を動かされません。
そこにファンファーレが鳴り響き、悪魔ロートバルトが娘オディールを伴って登場します。

オディールはオデットにそっくりな容姿で、ジークフリートはオディールをオデットだと思い込みます。

ジーフクリートはオディールに幻惑され、窓辺で必死に訴えかける本物のオデットの姿に気がつきません。
そして、ついにオディールに愛を誓ってしまいます。

その途端、ロートバルトとオディールは正体を現し、王子をあざ笑いながら姿を消しました。

第四幕

白鳥たちの待つ湖畔に戻ったオデットは、ロートバルトの策略にはまりジーフクリートが心ならずも裏切ってしまったことを話し、悲しみにくれます。

そこへ悔恨の情に責めさいなまれたジークフリードが現れ、赦しを乞うのです。
オデットは彼を許しますが、ロートバルトは愛する二人を引き離そうとし、ジークフリードはロートバルトに最後の戦いを挑みます。

ジーフクリートはロットバルトに勝利し、オデットをはじめ乙女たちは人間の姿に戻ることが出来ました。

バレエ『白鳥の湖』 黒鳥オディールの踊り

黒鳥オディールの踊りは白鳥オデットの踊りと対置されることで、ヒロインのオデットの姿をより明確にします。
ここからは、バレエ『白鳥の湖』における黒鳥オディールの踊りを見てみたいと思います。
白鳥のオデットと黒鳥のオディールの二役を一人のダンサーが踊るのが『白鳥の湖』の大きな特徴で、ダンサーには性格の違う二役を踊り分けるテクニックと表現力と体力が求められます。
黒鳥の登場シーンは三幕のグランパドドゥとフィナーレのみで、他の作品が物語の最後にグランパドドゥを踊るのにたいし、全幕の最も盛り上がる場面に踊られる物語の展開上からも不可欠な踊りです。
オディールの踊りはニ幕のオデットの振り付けが、誘惑の手管として全く違ったニュアンスで再現され、王子に自分はオデットであると信じ込ませていきます。例えばアラベスクのポーズをとってみても、オデットとオディールの違いは端的に現れます。
オデットのアラベスクは頭を前に伸ばした手に沿わせるように傾けて視線を伏せ、悲哀の表情を作ります。
一方オディールは顎を高く上げる、または顎を引いているときは上目遣いの鋭い目線を送ることで強い印象を与えています。

黒鳥の代名詞、三十二回フェッテ

黒鳥の踊りといえば、コーダの後半で始まる三十二回のフェッテが有名です。
女性ダンサーのテクニックの最先端を見せるものであり、『白鳥の湖』のこの場面では、オディールの勝ち誇った笑いやめくるめく幻想を表したものでもあります。
プロの公演を見ると、ひと昔前は回転の速度や回数を競うように上げていた傾向もありましたが、現在ではいかに余裕を持って「優美」を表現できるかに重点が置かれている気がしています☆
個人的にはミスが発生することも承知の上で高いテクニックに挑み、観客を熱狂させてくれるバレエリーナは本当に凄いと思う場面です!

版による黒鳥オディールの踊りの違い

あらすじの部分で申し上げたように、バレエ『白鳥の湖』は初演以降多くの改訂版が作られています。
そのため、オディールの踊りにもいくつかのパターンがあるのでご紹介します☆

オディールのバリエーションは二種類の音楽を用いたものに大別されます。
プティパ、イワーノフ版のものは「オデット的」な側面を感じられるより上品な音楽です。
グリゴロヴィッチ版、ブルメイステル版はより悪魔的、邪悪な本性を感じることができると思います。

プティパ版

グリゴローヴィチ版

ブルメイステル版

私が一番好きな白鳥の湖の映像は、ブルメイステル版でご紹介した動画のものです。
本当に主演ペアが素晴らしくて、何度見ても飽きません。
ミラノ・スカラ座バレエ団「白鳥の湖」(全4幕/ブルメイステル版)
出演:スヴェトラーナ・ザハロワ, ロベルト・ボッレ


以上がバレエ『白鳥の湖』より黒鳥オディールについて解説でした!
こちらの記事が白鳥の湖の作品理解に役立ちましたら幸いです☆

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