5月からKバレエカンパニーにてグランドバレエ「マダム・バタフライ」が上演されます!
日本を舞台にしたオペラ作品である「蝶々夫人」を下敷きにした作品ですが、歌のないバレエでどのように演じられるのでしょうか。
上演に先がけ、「マダム・バタフライ」のあらすじやキャストをご紹介します☆
私Junはバレエを習って18年になる大人リーナです。
高校卒業後ブランクがあり、社会人になってから再会しました。
ジュニア時代もコンクールになど出たことない、趣味のバレエでしたが
だからこそ大人リーナさんに役立つ記事をお届けできるのではと思っています☆
グランド・バレエ「マダム・バタフライ」の作品紹介
ジャコモ・プッチーニのオペラ「蝶々夫人」を原案にしたオリジナル作品。
Kバレエカンパニー20周年を記念した作品でもあります。
やはり完全な西洋文化であるバレエで「和」をどのように表現するのかが気になるところですよね。
初演時のインタビューで、西洋の文化であるバレエで“日本”を表現することに苦労したと語る熊川哲也さんは「できるだけ“日本”を忠実に立ち上げようと、日本舞踊を取り入れたり試行錯誤を繰り返したのですが、日本文化を背負うのはスピリットだけでいいということに気が付きました。日本人としての精神的なあり方を、作中で表すことができれば」と言葉に力を込めています。
また蝶々夫人の舞台である長崎での取材や、日本文化を取り入れるため神楽坂芸者衆とバレエ団員の交流もメディアに公開されており、取材の記事を読んでいても、熊川哲也さんがいかに想いをこめて製作したグランド・バレエかが伝わってきます。
美しい衣装
グランド・バレエ「マダム・バタフライ」は一般的なクラシック・バレエの衣装ではなく、着物を表現した衣装が使われます。
衣装を手掛けるのは前田文子さんです。
前田文子さんは演劇にミュージカルにバレエ、オペラと幅広いジャンルで引く手あまたのデザイナーですが、インタビューではバレエを踊ることができる着物というデザインと、2カ月格闘したと語っています。
美しく和のテイストが表現されながらも、バレエを踊る機能性を兼ね備えた衣装は必見です☆
オペラ「蝶々夫人」のあらすじ
ここで原作のオペラ「蝶々夫人」のあらすじをご紹介します☆
明治時代の長崎
丘の上にある一軒家の庭先で、結婚仲介人のゴローがアメリカ海軍士官のピンカートンに日本家屋の説明をしています。ピンカートンは芸者の蝶々さんと結婚し、いつでも契約破棄できる条件でこの家を999年間借りたのでした。ゴローはピンカートンに、女中のスズキや下男を紹介します。
アメリカ領事のシャープレスが丘を上って来ます。ピンカートンが日本に短期滞在する間の楽しみとして、軽薄な気持ちで蝶々さんと結婚しようとしていることを知ったシャープレスは、ピンカートンに警告しますが、ピンカートンは気にも留めません。
友人たちとともに蝶々さんが姿を現します。ピンカートンに挨拶し、士族の娘だったが父が死んで落ちぶれ、生活のために芸者になったと話します。
結婚式が始まり、蝶々さんの友人一同が祝福します。蝶々さんの伯父で僧侶のボンゾウが叫びながら登場。蝶々さんが夫への忠義を示すためひそかにキリスト教へ改宗したことをなじります。親類一同から絶縁され、嘆く蝶々さんをピンカートンがなぐさめます。静かになった夜の庭で、夜着に着替えた蝶々さんとピンカートンは、『愛の二重唱』を歌います。
しかし、「次に駒鳥が巣を作る頃には戻る」と言い残してピンカートンは帰国。愛を信じて疑わない蝶々さんは音信不通の夫の帰りを3年間、ピンカートンとの間の息子と女中のスズキと共に待っています。
所持金が残り少なくなり、女中のスズキはピンカートンが帰ってこないのではないかと疑っています。ピンカートンの帰りを信じて疑わない蝶々さんは、有名なアリア『ある晴れた日に』を歌い、必ず帰ってくると断言します。
シャープレスが、ピンカートンからの手紙を携えて訪ねて来ます。ゴローが新しい結婚相手として、金持ちのヤマドリを連れて来ましたが、蝶々さんはヤマドリの求婚に取り合おうとしません。ゴローは、夫に捨てられた妻は離婚されたのと同じと言います。蝶々さんは、日本の法律ではそうだが、アメリカの法律では違うと反論します。
ゴローとヤマドリがいなくなり、シャープレスがピンカートンの手紙を読み始めます。しかしシャープレスは、アメリカ人女性と正式に結婚したという、ピンカートンからの手紙を最後まで読むことができません。シャープレスがヤマドリとの結婚を勧めると、怒った蝶々さんは奥の間から金髪碧眼の男の子を連れて来ます。ピンカートンとの間にできた子で、彼がいなくなってから生まれたと言います。そして、この子が待っていることをピンカートンに伝えるよう、シャープレスに頼みました。
シャープレスが帰った後、大砲の音が聞こえ、ピンカートンの軍艦が長崎に寄港したことを知ります。蝶々さんは家中を花で飾ってピンカートンの帰りを待ちます。
シャープレスがピンカートンを連れて訪れます。2人はスズキに、子どもを引き渡すよう蝶々さんを説得してもらうためにやってきたのでした。ピンカートンは花で飾られた家を見て、蝶々さんが毎日、自分の帰りを待っていたことを知ります。
外にいるアメリカ人女性に気付いたスズキ。ピンカートンの正式な妻、ケイトです。蝶々さんの一途な愛を知り、犯した罪の大きさに恐れおののくピンカートンはシャープレスに後を任せて逃げ去ってしまいます。
ピンカートンの気配に気付いて出てきた蝶々さん。しかし、ピンカートンはどこにもおらず、涙にくれるスズキとシャープレス。ケイトの姿を見て一切を悟った蝶々さんは、子どもを渡してほしいというケイトの申し出を受け入れます。ただし、ピンカートン自身が、半時間後に引き取りに来るようにと条件を出しました。
一人になった蝶々さんは、父の形見の短刀を取り出します。短刀には「誇りをもって生きること能わざれば、誇りをもって死すべし」と刻まれています。スズキに押しやられて子どもが走り出てきます。蝶々さんは子どもを抱き上げ、息子に別れを告げた後、屏風の後ろに回って短刀をのどに突き立てます。遠くからピンカートンが蝶々さんの名前を呼ぶ声。その声を聞きながら、蝶々さんは子どもに這い寄り、息絶えます。
オペラとの演出の違い
オペラがピンカートンと蝶々さんの結婚式から始まるのに対し、グランド・バレエ「マダム・バタフライ」はピンカートンがアメリカを出国するシーン、赴任地・長崎の遊郭で蝶々を見初めるまでを第1幕に置いたオリジナルのドラマ展開です。
アメリカの場面のみあえてプッチーニを離れ、 ドヴォルザークの楽曲を用いるなど大胆に構成した音楽で、 日米の差異が際立つこの幕は、二国の色彩異なる華やかな踊りの見せ場となっています。
また、オペラで有名な「ある晴れた日に」もオペラとは違う場面で使用されているということで、熊川さんの演出の楽しみな部分です☆
バレエ「マダム・バタフライ」の個人的に思う見どころ
蝶々さんは15歳という若さで家の没落、親類からの絶縁、身請けでの結婚を経験しました。
辛い思いをたくさんして全てを失ったからこそ、ピンカートンへの愛に全てをかけているだと思っており、蝶々さんの少女から大人の女性への変遷と、ひとりの日本人女性の生き様をダンサーがどのように表現するかが見どころだと思います。
オペラと違い歌・セリフがないバレエですから、自分の心も繊細にして音楽・踊りから蝶々さんの感情を感じ取れるようにしたいですね。
2023年版のキャスト紹介
バイエルン国立バレエのプリンシパル ジュリアン・マッケイさんがピンカートン役で出演することでも話題となっていますよね。
ジュリアン・マッケイさんとはどのような方なのでしょうか?
ジュリアン・マッケイ
米国モンタナ州生まれ。
当時外国人最年少の11歳でボリショイ・バレエ・アカデミーに入学。
ローザンヌ国際バレエコンクールで研修賞を受賞したのち、英国ロイヤル・バレエ団に入団。
2016年、ミハイロフスキー・バレエに移籍。世界の主要劇場でゲスト出演するほか、22年9月からはミュンヘン・バレエのプリンシパルとして活動中。
現在24 歳。容姿端麗にして傑出した実力を備えたこの若きスターは今や世界中の注目を集め、「VOGUE」「Numéro」誌が特集を組むなどモード界をも魅了しています☆
キャスト一覧
蝶々夫人役の成田さんはじめ、初演から同役の方も多く再演が楽しみです☆
蝶々夫人
飯島 望未 成田 紗弥 岩井 優花
ピンカートン
ジュリアン・マッケイ 堀内 將平 山本 雅也
スズキ
荒井 祐子 前田 真由子
ゴロー
石橋 奨也 伊坂 文月
花魁
浅川 紫織 日髙 世菜 山田 蘭
ボンゾウ
杉野 慧 宮尾 俊太郎
ケイト
日髙 世菜 小林 美奈 戸田 梨紗子
ヤマドリ
山本 雅也 吉田 周平 関野 海斗
シャープレス
スチュアート・キャシディ
以上がKバレエカンパニー グランド・バレエ「マダム・バタフライ」の紹介でした!
上演開始まであと1ヶ月、とても楽しみです。
今ならチケットもまだ購入できそうですので、興味を持たれた方はぜひ劇場に足をお運びください☆
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